スクラム(Scrum)とは?簡単にわかるスクラム開発のスプリント・役割など5分で解説

Joe Justice

この記事でわかること

  • スクラム開発とは?概念を簡単な説明で理解できる
  • スクラムを使う意義を理解できる
  • スクラム開発の3-5-3を理解できる
  • 組織にどのようにスクラムを展開していけばいいのか?ジョー本人のアドバイスが聞ける
目次

スクラム(Scrum)とは 簡単に解説

スクラムとは、アジャイル開発手法の一つです。

アジャイルは俊敏性のある開発を意味する大きな概念で、スクラムはこれを実現するための手法の一つになります。

アジャイルには複数の手法や、考え方が存在しています。

スクラムは11のルールで構成されるシンプルなフレームワークで、世界中で多くの企業が採用しています。

スクラムは、チームが高度なアジャイルに移行するための最初のステップとして非常に良いフレームワークです。

なぜスクラム(Scrum)を使うのか?スクラムを使う目的や意義

スクラムを活用する主なメリットは、次の通りです。

リリースまでの時間の短縮

スクラムでは、全ての機能をまとめて開発するのではなく、機能を分割して段階的に開発してリリースします。つまり、プロジェクト全体が完了するまで、リリースを待つ必要はありません。これにより、市場投入までの時間を短縮できます。

リスク低減

小さな機能単位で開発し、テストしてリリースを繰り返します。そのため開発期間中、すぐにリスクを発見し、タイムリーに対応することができます。これにより、プロジェクトの失敗リスクが軽減されます。

生産性を向上させ、コストを削減する

スクラムでは、成果物の価値を追求し、不要な機能や不要な会議に費やす時間を削減するように考えられています。また振り返りによる改善の機会が多く、生産性をあげることができます。これらにより、生産性を改善し、不要なコストを削減します。

チームワークを促進する

小さなリリースをしていくことで成功体験が得られやすく、メンバーの士気向上に繋がります。またスクラムでは、チーム内のコラボレーションを強化するよう、役割や責任、イベントが設計されています。

スクラムアライアンス記載のイベントと成果物|スクラム開発の3-5-3とは

スクラム開発 3-5-3

スクラムにおける3つの役割

まずは、
スクラムの3つの役割について1つずつ解説していきます。

スクラムに3つの役割とは
  • プロダクトオーナーの役割
  • スクラムマスターの役割
  • 開発者の役割

プロダクトオーナーの役割

スクラムにおけるプロダクトオーナーの役割

プロダクトオーナーは、プロダクトの価値を最大化させることに責任があります。そしてプロダクトバックログを所有しています。これは優先順位が付けられた機能やサービスのリストです。

スクラムマスターの役割

スクラムにおけるスクラムマスターの役割

スクラムマスターは、スクラムの5つのイベントを促進させることに責任を持ちます。チームのスピードや、幸福度を向上させ、繰り返すことで改善し続けます。

開発者の役割

スクラムにおける開発チームの役割

開発者は、作業を行う人全てを指します。作業を完了させるのは開発者のメンバーです。
開発者はスプリントバックログを作成し、その責任を持ちます。スプリントバックログは、最優先のプロダクトバックログアイテムを、どのように完成させるかの作業リスト(タスクリスト)です。

スクラムにおける5つのイベント

スクラムにおける5つのイベントとは
  • スプリント
  • スプリントプランニング
  • デイリースクラム
  • スプリントレビュー
  • スプリントレトロスペクティブ(振り返り)

それでは、1つずつ見て行きましょう。

スプリント

スクラム スプリント

スプリントのイベントは、計画、テスト、リリースを含む短いサイクルです。スプリントの期間は、リリースが可能な長さにしなければなりません。
テストやリリースがなく、スプリントは2週間と期間を決めているチームもありますが、それはスプリントではありません。つまりスプリントは単純な期間ではなく、テストしリリースまで可能な期間となります。90日スプリントでスタートして、改善を繰り返してスピードアップするチームもあります。

スプリントプランニング

スクラム スプリントプランニング

開発者が、最優先のバックログアイテムをスプリントの期間内で完了できるよう計画するイベントです。どのように仕事を進めていくか、作業計画を作成するための会議となります。

デイリースクラム

デイリースクラム

デイリースクラムは、1日の作業を再計画するための15分の会議です。次に何をすべきか、作業を妨げているのは何かなどを確認し、互いに助け合い改善します。

スプリントレビュー

スクラム スプリントレビュー

スプリントの成果を確認し、次のスプリントを最適化するためのイベントです。スプリントレビューは、顧客が実際に使用するところを確認するのが理想です。

スプリントレトロスペクティブ(振り返り)

スクラム レトロスペクティブ

スプリントレトロスペクティブは、チームの心理的安全性を高め、チームのスピードと幸福を高めるためのイベントです。
次のスプリントの改善点を確認します。これらの改善は、直ぐに実行されるか、プロダクトバックログまたは、スプリンバックログトに入れられ優先順位が付けられます。

スクラム開発の3つの作成物

「3−5−3」の3つ目、3つの成果物について解説します。

3つの成果物とは以下の3つを差します。

スクラムにおける3つの成果物とは
  • プロダクトバックログ
  • スプリントバックログ
  • インクリメント

では、詳細を説明します。

プロダクトバックログ

スクラム プロダクトバックログ

プロダクトバックログは、スプリントサイズのプロジェクトや、プロダクト、サービス一つ一つをリスト化したものです。(機能リスト)
優先順位がつけられ、作業を行う人たちと、作業を依頼する人たちの間でそれが共通理解されています。

スプリントバックログ

スクラム スプリントバックログ

スプリントバックログは、開発者が最優先のプロダクトバックログアイテムをスプリントの期間内で、完了させるための作業リストです。(タスクリスト)
スプリントの終了時に、そのアイテムは、完成の定義、および受け入れ基準を満たしている必要があります。

(出荷可能な)インクリメント

スクラム インクリメント

スプリントで完了したアイテムであり、それは使用可能な状態のプロジェクト、またはプロダクトや、サービスです。成果物、納品物ということになります。

スクラムにおけるスクラムアクセサリー

スクラム アクセサリー

準備中(NOT READY)列

プロダクトバックログのすぐ左側にある列またはリストで、将来の作業を検討することができます。

リファインメント

プロダクトオーナーに責任がありますが、全員が参加するアクティビティです。準備中のアイテムを精査し、プロダクトバックログに優先順位を付けます。そのプロダクトバックログは準備完了の定義を満たす必要があります。

準備完了の定義(DEFINITION OF READY)

プロジェクトに投資し開発を開始する準備ができているかどうか判断する条件(開発を開始するための情報が揃っている、スプリントで完成できるサイズになっているなど)

完成(完了)の定義( DEFINITION OF DONE)

プロジェクトが品質を満たして完成したと判断するテストや条件。完了した全ての作業は、その定義した品質基準を満たす必要があります。

待ち( BLOCKED)

別のチームやベンダー、またはチームの制御外のロボットプロセスなど、外部の依存関係を待機している作業を配置する場所。

完成(完了)列

各スプリントの完成したアイテムを配置する場所。完成の定義を満たし、過去の各スプリントで何が完成できたのかを示します。

スプリントバーンダウンチャート

完成の定義を満たしたアイテムは何か、いつ完了したのかを示すタイムチャート。 スプリントバーンダウンチャートは、特定のアイテムがいつ完了するかという質問に答えることができます。
新しいプロジェクトや、スコープを拡大したい場合などには、バーンアップチャートを使用することもあります。

スクラム スプリントバーンダウンチャート

リリースバーンダウンチャート

各スプリントを合わせて、より大きなプロダクトの作業傾向を示したタイムチャート。例えば、車には何千もの部品があります。例えばチームが、1スプリントで平均20個の部品を完了している場合、リリースバーンダウンチャートは複数のスプリントをまとめて、その車の全ての部品がいつ完了したかを表示します。

スクラム(Scrum)でリーダー主義からチーム主体への権限委譲

リーダーは、チームを管理する責任を持っています。

組織によってはプロジェクト進捗管理、予算管理、チーム間の調整、人事評価など、多くの管理や調整業務に追われているかもしれません。

この場合リーダーの作業量が多いため、リーダー自身がチームのボトルネックになってしまうことがあります。

例えば、チームがリーダーの承認を待たなければならず、生産性や、変化への対応速度を低下させてしまうということがあります。

スクラムでは、従来リーダーが行ってきたことを、チームメンバーに分散して、メンバー自身が行います。

リーダーがメンバーに細かく指示するのではなく、チームが自らその権限と責任を持ちます。

チームメンバーへ権限と責任が移譲されることにより、チームメンバーはより自律的に行動することを意識するようになり、自己組織化チームを育みます。

スクラム(Scrum)が組織改革へ与える影響

スクラムの活動の中で、チーム構成や、権限が十分に移譲されてないなど、スクラムチーム内では解決できない、組織の問題もあるかもしれません。

しかし、課題に気づけたというのは最初のステップです。課題に気づかなければ解決をすることができないので、まずは課題を見つけて、チームでその課題に向き合うことから始めましょう。

組織的な問題を解決していくには、あなたがスクラムマスターであれば、まずはあなたが優れたスクラムマスターとなることです。

自分自身のチームで成功事例を作ったり、直属の上司にスクラムを理解してもらうように働きかけることは、助けになるでしょう。

教えてジョー!スクラム開発編

アジャイル業界をリードする、ジョー ジャスティスに直接質問して聞いてみました!

組織にスクラムを理解してもらい、導入を進めるにはどうすればいいのか?

組織にどのようにスクラムを展開していけばいいのか?

大丈夫です、心配しないでください。あなたがこの記事を読んでいる時点で、すでに最初の一歩を踏み出しました。スクラムは非常に優れていますが、他のどんなフレームワークと同じように、魔法のような解決策はありません。まずはご自身のできるところから始めてください。そして、スクラムという楽しいゲームをチームや上司に少しづつ理解してもらえるよう、あなたがコーチになってみてください。
私たちのクラスに参加していただければ、多くのヒントが見つかるかもしれません。

スクラム(Scrum)に関するFAQ

スクラムとはアジャイルのことですか?違いは?

スクラムとは、アジャイル開発手法の一つです。アジャイルは俊敏性のある開発を意味する大きな概念で、スクラムはこれを実現するための手法の一つになります。アジャイルには複数の手法や、考え方が存在しています。

スクラムにおけるプロダクトオーナーの役割とは

プロダクトオーナーは、スクラム開発の方向性を決め、プロダクトの価値を最大化することに責任を持ちます。
スクラム開発が円滑に進行する様、チームや顧客とともに「プロダクトバックログ」を作成します。

スクラムにおけるスクラムマスターの役割とは

スクラムマスターはアジャイルコーチとして、チームがアジャイルを理解し、実践できるようコーチします。当社トレーナーのJoeは、スクラムはゲームであり、プロダクトオーナーは審判、スクラムマスターはコーチ、開発者はプレーヤーのようである、と例えています。

スクラムのプロダクトバックアイテムを表すユーザーストーリーとは?

プロダクトバックログは開発対象の機能やサービスのリストです。これらは、ユーザーストーリーとして記述されます。
ユーザーストーリーは、ペルソナの観点から、開発する機能がどのように価値を提供するかを明確にします。
これにより、チームは、何のためにその仕事をしているのか、それによってどのような価値が生み出されるのかを理解できます。
ペルソナにとっての価値が理解できるので、何を次に作り、何を作らないのか優先順位を決めるのを助けます。

スクラム開発におけるプランニングポーカーとは?

見積もりの際に使用されるゲームです。スクラムでは作業を時間や人月では見積もりません。
作業の難易度や、労力サイズをポイントとして見積もります。この際、そのポイントがどれくらいなのか、数字の書かれたカードを使用して、チームはゲームをプレイするかのように見積もりを行います。

スクラムではスプリントごとにリリースすべきですか?

スプリント毎に、何かがリリースされるべきです。スプリントは単純なタイムボックスではなく、テストとリリースを含む一連の作業期間である必要があります。

スクラム研修でスクラムをしっかり勉強するには?

弊社のスクラム研修を担当する講師はJoe Justice(ジョー ジャスティス)は、

世界20か国以上でスクラムの導入支援やアジャイル人材の育成を行っています。

さまざまな業界、業種の事例を踏まえながら、世界基準のアジャイル手法が学べます。

またスクラムのフレームワークを教えるだけでなく、ビジネスを成功させるためにスクラムを活用するという視点でトレーニングを提供しています。

ジョー・ジャスティスから学べるCSM講座

スクラムの考え方の基本

スクラムは、経験主義と、リーン思考に基づいています。経験主義とは、知識は経験から得られ、観察に基づき意思決定するという考え方です。リーン思考は、無駄を省いて本質に集中するという考え方です。
これらを実現するために、スクラムの3本柱である「透明性」「検査」「適応」と、スクラムの5つの価値基準である「確約」「勇気」「尊敬」「公開」「集中」が定義されています。

スクラムの3本柱

「透明性」「検査」「適応」の3本柱を実現できるようにスクラムは設計されています。

「透明性」とは、作業をする人と、それを受け取る人の双方に見えるようにすることです。プロセスや進捗状況が共有されている状態は、より早く・より良い意思決定をすることにつながります。

「検査」とは、望ましくない変化や問題に気づくために、作成物や、進捗状況、プロセスをチームが頻繁に検査することです。検査することによって、課題を発見して早期に適応することができます。

「適応」とは、作成物や、プロセスなど成果を最適化することです。変化へ適応し、継続的に改善をし続けます。

スクラムの5つの価値基準

スクラムの5つの価値基準は、「確約」「勇気」「尊敬」「公開」「集中」です。

確約とは、「スクラムチームは、ゴールを達成し、お互いにサポートすることを確約する」こと。
勇気とは、「スクラムチームのメンバーは、正しいことをする勇気や困難な問題に取り組む勇気を持つ」こと。
尊敬とは、「スクラムチームのメンバーは、お互いに能力のある独立した個人として尊敬し、一緒に働く人たちからも同じように尊敬される」こと。
公開とは、「スクラムチームとステークホルダーは、作業や課題を公開する。」こと。
集中とは、「スクラムチームは、ゴールに向けて可能な限り進捗できるように、スプリントの作業に集中する。」こと。

これらの価値を実現することは、チームのモチベーションや心理的安全性を高め、パフォーマンスに大きく貢献します。

スクラム(Scrum)開発まとめ

スクラムは、3-5-3のルールで構成されシンプルで実践しやすいフレームワークです。

小さく分割して開発を進めるのでスピードの向上とリスク低減が期待できます。

またチームワークや、心理的安全性を重視しており、チームメンバーのモチベーション向上にも繋がります。

そしてこれらは、組織を改革していくきっかけともなりえます。

アジャイル開発を実践してみたいという場合、まずスクラムを試してみるのがお勧めです。

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