Joeのヨーロッパイベント:KataCon Europe 2024登壇
KataCon Europe 2024に参加して
KataCon Europe 2024は、アジャイルやリーンの実践者が集まり、知識や経験を共有する場として、スウェーデンのハルムスタッドで開催されました。このイベントでは、Joeが登壇し、多くの参加者が注目する内容が展開されました。以下は、イベントに参加して得た考察です。
Kataがヨーロッパで支持される理由
日本発祥の「Kata」という言葉が、ヨーロッパで広く活用されている現状には興味深いものがあります。日本ではこの概念がアジャイルの現場で直接語られることは少ないですが、トヨタ生産方式やリーンの影響を受けたヨーロッパでは、Kataが継続的な改善活動を支えるフレームワークとして支持されています。また、「Kata」以外にも「Dojo」「Kaizen」「Muri」「Muda」など、日本の改善文化に由来する言葉が頻繁に使われている点が印象的でした。
会場はVolvo、「リーン」で運営されていた
今回の会場となったボルボの施設では、リーンが単なる理論でなく、実際に運営プロセスの中で活用されている様子を目の当たりにしました。
ホワイトボードを使ったかんばんボードも活用されていました。以前はデジタルかんばんボードを採用していましたが、現場ではホワイトボードの方が視覚的に共有しやすく、即座に変更やフィードバックを反映できるという利点があり、結果的にホワイトボードへ戻したとのことでした。こうした現場での選択は、実際の状況に合わせて最適な手法を柔軟に取り入れるというリーンの精神を感じました。
日本とヨーロッパの視点の違い
「Kaizen」という言葉は、トヨタ生産方式(TPS)の一部として知られるようになりましたが、日本ではそれ以前からも職人文化や農耕社会の中で「より良くする」という精神が根付いていたと考えられます。
日本語の「改善」は、英語の「improve」に比べ、行動や実践に重きを置く傾向があります。単に「良くなる」という結果だけでなく、日々の業務やプロセスの中で小さな工夫を重ねるというニュアンスが強いです。この実践的な姿勢が、TPSやリーンの中核をなしており、ヨーロッパでも注目されています。
ヨーロッパでは、この「Kaizen」を学ぶべきモデルとして捉え、体系的なフレームワークとして活用しています。「Kata」や「Kata Dojo」のような形で、改善のプロセスを実践的に学び、再現可能な形にすることで、さまざまな組織や業界で適用可能な手法として発展させています。
ジョー・ジャスティスの登壇とワークショップ
ジョー・ジャスティスによるキーノートでは、テスラでのアジャイル活用事例が紹介され、多くの参加者が「スピードと柔軟性を支えるアジャイル実践」に強い関心を寄せていました。ジョーが特に強調したのは、アジャイルのフレームワークはあくまで成果を最大化するための手段であり、それ自体が目的ではないという点です。このメッセージは多くの参加者に響き、アジャイルの本質を再認識するきっかけとなっていたようです。
ワークショップでは、ジョーと共にMobAI(AIと人間の協力作業)の実践が行われました。参加者からは「このスピード感と柔軟性を現場でも取り入れたい」との声が多く聞かれ、AIを活用したアジャイルの新たな可能性に期待が寄せられていました。この体験は、チームの作業効率をさらに向上させるヒントを提供し、大きな関心を集めました。
まとめ
KataCon Europeは、Kataに興味を持つ人だけでなく、アジャイルやリーンを探求するすべての人にとって価値のあるイベントでした。日本人として、このような取り組みが日本国外で進化している姿を目の当たりにし、日本に持ち帰るべき多くのヒントを得ました。今後も、グローバルな視点を持ちながら、アジャイルの実践と普及に努めていきます。